真っ黒な表紙が目を惹く絵本。
不気味な表情で笑っているのは…
オオカミとブタの関わりから、「生きる」ことを学ぶ絵本をご紹介します。
Mr.Reaper
カタカナ | ー |
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漢字 | ー |
ページ数 | 32ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 6歳 |
ISBNコード:9781935654285
どんな本?
表紙でもニヤリと笑っている不気味な顔…
タイトルにもなっている”Reaper"とは、「死神」のこと。
笑っていたのは、シニガミさんでした。
ある時、木に憑依したシニガミさんの傍には今にも死んでしまいそうな病気のこぶたがいました。
そこへ通りかかったのは、はらぺこオオカミ。
食べてしまおうとこぶたに近づきますが、病気でぐったりしていることに気付きます。
このまま食べるより、こぶたが元気になってから食べよう。
そう思い家へ連れて帰ることにします。
そしてその日から、オオカミはこぶたの看病を始めます。
温かいスープを作り、歌やダンスで元気づけ、お花を飾り…
しかしこぶたの病気はなかなか良くなりません。
そんな日が続き、こぶたは弱音を吐くようになります。
「ずっと看病してくれてありがとう。でもきっともうダメだ。」
そこでオオカミが一喝!
一生懸命ぶたを励まし、病気を治してくれる赤い花を崖の下まで採りに行くことにしたのです。
危ない場所へ向かうオオカミは、どんな気持ちでしょうか。
こぶたを食べたいから、こんなに頑張るのでしょうか…?
ところどころでMr.Reaperが2人の様子を伺っています。
ハラハラドキドキの物語、どんな結末が待っているのでしょうか。
この絵本、作者は『おまえうまそうだな』などで有名な宮西達也さん。
読むとハッと考えさせられるような、人間味のあるお話が特徴の絵本はフランス、中国語、韓国など世界中で翻訳されています。
今回の作品でも、読んでいるうちに変化するオオカミの心情、それを淡々と眺めているMr.Reaper…。
どこか心配しながら読み進めるような絵本ですが、最後のシーンできっと子供たちの笑顔が見られますよ。
感想
しっかり文章のボリュームがある絵本なので、最初はこんなに長い英語の本を読めるだろうか、娘は最後まで聞いてくれるだろうかと心配しました。
しかし読み始めると気になるストーリーに止まらなくなりました。
英文も、会話が多く娘は退屈せずに聞いてくれました。
ただ今回「死神」という存在を、娘にきちんと説明できず…
小学校に入ってからの方がわかりやすいかな?と思いました。
この絵本、表紙も黒く出てくるのもオオカミで娘が好きそうな要素がないのですが、選んだのは娘。
聞くと、最後のページがとても楽しそうで大好きなのだそう。
ずっとハラハラするこの絵本の中で、最後のページが唯一ホッとして読める場面だと思うのですが絵本を読む前からその「安心感、幸せな雰囲気」が伝わっていたのだと思うとイラストの力はすごいなぁと思います。
宮西さんの作品は、考えさせられるような、心に語り掛けるようなテーマが多いように感じます。
「生きること、命の尊さ」がテーマのこの作品は日本語訳もされていますので、タイトルのインパクトに驚かず最後まで読んでみて頂きたいです。