ほっとする優しい雰囲気のイラストが人気の末崎茂樹さん。
今回ご紹介するのは、その末永さんの人気絵本シリーズです。
違いを認め合う住人たちの温かい思いやりが学べる絵本の最新作。
秋の空気を感じながら楽しめますよ。
くすのきだんちのおとなりさん
カタカナ | あり(ルビあり) |
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漢字 | なし |
ページ数 | 32ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 4歳 |
ISBNコード:9784564019098
どんな本?
10階建てのくすのきだんち。
管理人のもぐら・もぐを始め、さるやきつね、かけすといった様々な動物たちが集まる大きなクスノキのおうちです。
ある日、くすのきだんちのすぐ隣に見知らぬ片方だけの靴が。
リリリリリと綺麗な声につられて覗いてみると、そこにはコオロギたちが住んでいました。
団地の住人は、この突然現れたおとなりさんに興味津々。
みんなで代わる代わる覗きに来ます。
でもコオロギさんたちは人見知りのようで全く喋りません。
その代わり、綺麗な声で歌うのです。
そんなある日、お隣さんの靴の家が忽然と姿を消してしまいます。
もぐら・もぐは大慌て、そこへ現れたとかげがどうやら関係している様子。
一体、コオロギたちはどうなってしまったのでしょうか…?
「リーリーリー」としか鳴かないコオロギたちにも、一生懸命喋りかけみんなと変わらない接し方をする動物たち。
違った個性を持つ動物たちが一緒に集まるくすのきだんちの良さが溢れたお話です。
落ち葉、コオロギ、すすき、月、夜…
くすのきだんちの優しさと、秋の雰囲気が一緒に楽しめますよ。
感想
わが家で初めて読んだくすのきだんちシリーズです。
大きなクスノキの根っこで落ち葉掃除をするもぐら・もぐや、立派な木の枝から見下ろす森、色んな画角から描かれたイラストで迫力満点でした。
今回大工のサルが素敵な屋根を作ってくれたりするのですが、このように住人にはそれぞれ特技があるようです。
くすのきだんちシリーズを読んでいる方は、動物たちの特徴を知っているのでより一層楽しめそうですね。他の9冊も順番に読みたくなりました。
お話の中でコオロギたちがいなくなったあとトカゲが登場するのですが、嫌な予感がしてしまったのは私だけではないよう。
「トカゲがコオロギを食べる」というのを知っていると、ちょっとドキッとしてしまうかもしれません。(最後まで読めば心配ご無用。ご安心くださいね。)
「お隣さんのことはよく知らないし話したりするわけじゃないけど、何となく気にかかる」という絶妙な隣人との関係性が描かれている作品なので、あっさりしすぎていると感じる方もいるかもしれません。
「わかりやすい仲良し」の関係性が多く描かれる絵本の世界で、何となく思いを馳せているという関係を見られるのは珍しい気がしました。
娘はお友達がちょっとそっけないとしょぼんとしがちなのですが、このくすのきだんちの動物たちは同じような場面でも明るく考えていて「そんなもんなのよ、深い意味はないから安心しなさい」というのがなんとなく伝わるといいなぁと思いながら読みました。