米ニューヨークタイムズでは、その年に出版された絵本の中から優秀な作品を選ぶ絵本の賞があります。
日本で話題の作品の中には、ニューヨークタイムズ絵本賞受賞作もたくさん。
今回は、各所から絶賛されているある作品を紹介します。
言葉が滑らかにしゃべれない「吃音(どもり)」という発達障害を持つ男の子のお話です。
ぼくは川のように話す
カタカナ | あり(ルビなし) |
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漢字 | なし |
ページ数 | 44ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 6歳 |
ISBNコード:9784034253700
どんな本?
朝、目を覚ますと、男の子の周りはことばの音だらけ。
部屋から見える松の木の「マ」
その枝にとまるカラスの「カ」
ぼんやり空に浮かぶ月の「ツ」
でも、男の子にはうまく言えない言葉がある。
「マ」も「カ」も「ツ」も、うまく言葉にできない。
それでも男の子は学校へ行く。
そして、先生にあてられるとみんなが男の子を見る。
びくびくしながら、ゆがんだ顔で一生懸命喋るけれど、男の子の口は動かない。
みんなに笑われ、からかわれ、涙があふれてくるそんなとき。
お父さんが川岸に連れて行って、ある忘れられない言葉をかけてくれるのです。
「吃音」でうまく話せない少年の視点で描かれたこの作品は、作者であるジョーダン・スコットさんの実体験をもとにした絵本。
原書がニューヨークタイムズ絵本大賞を受賞し、日本でも産経児童出版文化賞翻訳作品賞を受賞するなど絶賛されています。
繊細な少年の葛藤を、言葉と絵の力強さで晴らしてくれる映画のような作品です。
感想
「どもり」という言葉は知っていたのですが、それを「吃音」と呼ぶことをこの本で知りました。
そして、その吃音に悩む本人の視点で描かれたこの絵本はとても心に響きました。
この少年がうまく発音できない「マ」「カ」「ツ」のそれぞれを、どんな風にうまく言えないのかが読者に伝わるようなわかりやすい書き方で表現してあります。
あぁ、こういう状態なのかとすごくイメージがわきました。
そしてそれがどれだけもどかしく、悔しく、苦しい状態かを感じました。
5歳娘にはまず吃音という症状があることを話しました。
今はふーん、と言うだけでしたが、絵本を読み少年の気持ちは「悲しい気持ち。」「(周りの人にそんな風にされたら)いやだ。」ときちんと伝わっていました。
少年が葛藤する中で父親の言葉がとても重要で、子供が悩んでいるときにそれを察し晴らしてあげられる親の偉大さを感じます。
私もそうでありたい。
吃音だけでなく、「なめらかに」がうまくいかない時に当てはまるようなお話なので、親子でぜひ読んでみてください。