今回ご紹介する絵本は、私が読みたくて選んだものです。
発売されてからとても話題になって、図書館でもすごい予約待ちだったりと気になっていたものの、なかなか読むタイミングがなく…
「ママが海賊なんてどんなお話なのだろう!」と大冒険宝探しのようなストーリーを想像していたら、びっくり。
ただの海賊より、ずっとずっと強いお母さんと子供のお話でした。
ママはかいぞく
カタカナ | あり(ルビなし) |
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漢字 | なし |
ページ数 | 26ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 4歳 |
ISBNコード:9784334962401
どんな本?
この絵本は、2020年5月に放送された日本テレビ「世界一受けたい授業」で子どもも大人も楽しめる絵本として紹介されました。
ぼくのママは、かいぞく。
カニなんてへっちゃら号に乗って、仲間たちと宝の島を目指して旅をしているんだ。
そんな男の子の言葉で語られるのは、強くてかっこいいママのことです。
初めての戦いでできた傷。
海が荒れた日は酔ってしまいごはんも食べられずに吐いてしまう。
そして海賊は、シラミがつかないように髪の毛を剃る。
ママは、頭にきれいなバンダナを撒くようになった。
このお話は、海賊として荒れ狂う海で戦うママのお話と、もうひとつストーリーがあります。
勘の良い方はもうお気づきかもしれません。
最初は元気いっぱいロングヘア―だったママが、胸に傷を作りながらも懸命に戦う姿。
髪を丸坊主にして、吐きながらも諦めずに戦う姿。
子供の目には、どんなに頼もしくうつるのでしょうか。
ママの強さ、そして支える家族の絆。
事実を伝えながらも重苦しくならないよう工夫された内容は、子供にもわかりやすく雰囲気が良いと世界中で話題になりました。
まずは一読。
そして、全てを理解したら、ぜひもう一度最初から読んでみてください。
感想
全く内容を知らないまま読み、最初はなんだかよくわからない状態でした。
ママは海賊と言いながら、家に帰ってきて日常生活をおくる。
カニなんてへっちゃら号?なんでカニ?
でも、読み進めるうちに少しずつ謎が解けていきます。
胸に傷?
吐く?
そして髪の毛を剃ってバンダナを巻くところでハッとしました。
この絵本の、もうひとつのストーリーに気が付いたからです。
作者のカリーヌ・シュリュグさんは乳がんを患い、そのことを子供たちにどう伝えるか悩んでこの絵本を作ったそうです。
重苦しく不安にさせるのではなく、事実を伝え冷静に立ち向かうことができるように。
フランスでは、「crab」に2つの意味があります。
1つは「カニ」。
もうひとつは、「癌」です。
不思議で仕方なかった船の名前が、ストンと理解できました。
年中の娘はまだよく理解していないようでしたが、最後は雰囲気良くおわるストーリーなのでお子様にも問題なく読めると思います。
意味を理解してから読み直すと、けなげな子供の姿に涙が止まりません。
子供はもちろんですが、大人にこそ読んで頂きたい1冊です。