以前読んでとても心に響いた作品があります。
それが、オリヴァー・ジェファーズさんの『ほら、ここにいるよ』。
これから広い社会で生きていく子供たちへの、生き方指南書のような素敵な本でした。
今回紹介するのは、同じ作者が描いた最新作。
こちらも作者本人の娘に向けて描かれた、愛にあふれる1冊です。
きみとぼくがつくるもの
きみとぼくがつくるもの: いっしょに みらいをいきていくための けいかく (海外秀作絵本)
カタカナ | あり(ルビなし) |
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漢字 | なし |
ページ数 | 41ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 6歳 |
ISBNコード:9784593102143
どんな本?
原作である『WHAT WE’LL BUILD』はニューヨークタイムズの子供向けベストセラーチャートにランクイン。
世界中でそのメッセージが共感をよんでいます。
この絵本は、作者のオリヴァー・ジェファーズさんがまだ幼い娘さんに大切なことを伝えるために描いた作品。
「さぁ なにをつくろう? 君と、僕で。」
そんな未来への希望が詰まった言葉から始まります。
まずありったけの道具を集めること。
僕たちが一緒に暮らしていく家を作ること。
君と僕の時間を合わせるための時計も作ろう。
家では温かい思い出をたくさん作るけれど、たまには隠れたくなることもあるから外に穴を掘っておこう。
敵だと思っていた相手とも、一度話し合ってみよう。
これから大人になっていく子供たちが、どうか困難に打ち勝てるように。
広い世界に目を向けられるように。
そんなメッセージのこもった文章と、優しいイラストが胸を打つ絵本です。
感想
作者のオリヴァー・ジェファーズさんは、『ほら、ここにいるよ』でも小さく写真を載せていました。
その時の娘さんはまだ小さな小さな赤ちゃんで、本作の巻末に載っていた写真を見て「大きくなったねぇ~!!!」と親戚のおばちゃん気分になりました。
この作品、まずはそのまま一度読んでみてほしいです。
ひとつひとつの文章にメッセージが込められているので、何のことを言っているのかな?と考えながら読み進めると思います。
時計の話の部分が私はいまいちストンと飲み込めていません。
でも、高い塔を作って世界のことにも目をむけられるようにしよう、というようなわかりやすい書き方の文章もあります。
そして読み終わったら、冒頭の小さな文字で書かれた文章を読んでみてほしいです。
僕たちよりも 困難な状況にある 父親と娘たちへ
この地球上のみんなが 平等になることを 僕らは願っています
心をこめて オリヴァーとマリーより
頑張ったけれど 越えられなかった
オスカーとヴァレリアを偲んで
引用元:オリヴァー・ジェファーズ(作) tupera tupera(訳)2021年『きみとぼくがつくるもの いっしょにみらいをいきていくためのけいかく』株式会社ほるぷ出版(2ページより)
オスカーとヴァレリアって、誰だろう?
と思った方は、こちらのニュースを。
(少しショッキングなので落ち込みやすい方はご注意ください)
ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカとメキシコの国境地帯の川で不法入国しようとした父親と2歳の娘さんのニュースです。
この絵本冒頭の小さな文字にこもった思いを知る前とあとでは、絵本の感じ方が変わるかもしれません
幼稚園の娘は文章にこめられたメッセージまで読み取れないので、「ふーん、こういうお話なんだー!」という反応でしたが言葉もイラストも柔らかいので子供でも問題なく読めます。
本当の意味に気付くのは、もっと大きくなってからかなと思います。
前作『ほら、ここにいるよ』の方が子供にわかりやすいかもしれません、もし気になるかたはこちらもおすすめです。
子供だけでなく、大人の私にも響くメッセージ絵本でした。