アメリカには、コールデコット賞という児童書アワードがあります。
そのコールデコット賞では、惜しくも大賞を逃した次点の候補者たちにオナー賞が授けられます。
今回ご紹介するのは、2013年にそのオナー賞を受賞した作品。
英語がほとんどないので英語初心者の方や、「色」の感性を磨きたい方におすすめの1冊です。
green
Green (Booklist Editor's Choice. Books for Youth (Awards))
カタカナ | ー |
---|---|
漢字 | ー |
ページ数 | 35ページ |
本のサイズ | A4くらい |
おすすめ月齢 | 5歳 |
ISBNコード:9781596433977
どんな本?
この絵本には、「緑」のものだけが描かれています。
ただ緑と言っても色んな種類があり、ページごとに様々な緑に出会えるのがこの本の特徴。
森の緑、海の緑を始め、lime greenやpea greenといった実際に使われる色の名前も。
全て「緑」でくくられますが、細かく分類するとこんなにも違うのだと気付かされます。
見開きの2ページをフルに使ったイラストはどこかが必ずくり抜かれていて、次ページや前ページの色がそこから覗くような作り。
イラストはいかにも「キャンバスに描かれた油絵!」という感じで、まるで緑の展覧会を見ているようです。
作者のlaura vaccaro seegerさんは、ニューヨークタイムズのベストセラーリストに何度も登場する絵本作家。
可愛らしいイラスト絵本もありますが、この作品はアート性が感じられる1冊になっています。
"forest green"、"lime green"などそれぞれの絵に英語が1つだけで、ストーリーブックではありません。
でも、最後まで読むことで「緑」についてきっと何か考えることができますよ。
感想
この絵本、英語は1ワードのみで単語さえわかれば何の問題もなく読めるんです。
それでも私がおすすめ年齢を5歳と感じた理由…
それは、感じ取る力が必要だと思ったからです。
実は、この絵本の後半に"never green"と"no green"というページがあります。
この2ページ、どちらも緑がほとんど見えない絵なのですが、"never"には森林破壊に対するメッセージ、"no"には穏やかに春を待つ空気を感じることができるのです。
赤ちゃんでもパッと見た色を楽しむことはできますが、この絵本は単純に「緑」を覚えるのではなく、森林や自然について考えるきっかけをくれると思いおすすめ年齢を「5歳」頃にしました。
くすんだ緑、鮮やかな緑、深緑…
日本語でも表現しようと思うと色々な言い方がありますよね。
緑と言っても、こんなに表情が違うんだと気付かされます。
幼稚園の娘は穴のあいたしかけ絵本として楽しんでいますが、"never green"のページと緑がいっぱいの穏やかなページから、何かを感じてくれたらいいなと思います。